コンパクトカーの常識を変え、世界で愛されたマーチ
1981年の10月に開催された第24回東京モーターショーに参考出品され、
その後一般公募により「マーチ」となった初代、
その後5年スパンといわれるクルマのモデルライフの中で
10年という極めて長いスパンを経て2代目が作られます。
1992年1月に初のフルモデルチェンジした2代目は
「安いが低品質」というコンパクトカーの常識を変えたとされ、
バブル崩壊によるコンパクトカーの持つ経済性が見直され
その結果、一躍大人気車種に。
また日本車初となるヨーロッパのカーオブザイヤーに選ばれたことも相まって、
新車種となる初代「キューブ」とともに当時深刻な経営難だった日産を救うほどの
経済効果を生み出しました。
3代目k12型を発表するもその人気に陰りが…
2002年に登場した3代目はデザインをより親しみやすくするために、かわいらしく
それでいて電動式四駆「e-4WD」の導入により4輪駆動による燃費の低下など、
新しい試みを挑戦するものでもありました。
しかし、2005年に「ノート」が登場しその年の販売ランキングでは、
ノート5位に対しマーチ19位と大きな差をつけられてしまいます。
しかし翌年以降トヨタや本田の各人気モデルに押されたこともあり、
両社とも大きく販売台数を伸ばすことができなかったようです。
行き過ぎた低コスト化は魅力を削る結果に
現在の4代目は2010年から販売されていますが、
今までのモデルとは違い日本国内の生産はなく、
アジア諸国やインド、ブラジルの各工場での生産となりました。
また、今まで一貫していた親しみやすさというコンセプトから、
徹底したコストカットの路線にシフトチェンジしました。
その背景にはわずか20万円という世界でも類を見ない超低価格小型車を生み出した、
インドのタタ・モータースの「ナノ」の存在があるようです。
ですが行き過ぎたコストカットは今まで培ってきたマーチの魅力もそぎ落としてしまいました。
そのため現在のマーチは「魅力がなくなった」と評論家は口をそろえて言います。
元営業スタッフが語るマーチの未来とは
日産の販売店で長年にわたり日産のバイヤーとして活躍されていた、
元営業スタッフの方は次のように話しました。
「2代目のマーチは、90年代初頭に爆発的に売れました。
バブル崩壊後ということやトヨタ『スターレット』との相乗効果によって
コンパクトカーに注目が集まり始めていたことが大きかったと思います。
また、2000年代に入ってからは同カテゴリの強豪車や軽自動車、
そしてマーチよりも室内空間が広く使い勝手が良いノートの登場が影響したことや、
現行マーチ自体のデザイン・性能がユーザーから評価されなかったなどのさまざまな要因の結果、
大幅に販売台数が落ち込みました。
そして、両者の差を決定的にさせるのが『e-POWER』の登場です。
これによりノートは一躍『売れているクルマ』の常連になります。
マーチは『e-POWER』以外にも大きな改良をすること無く今に至っていることから、
国内市場ではかつての柱としての役目は終わったのかもしれません」
yahooニュースより引用
ヨーロッパで独自進化をつづけるマーチ
日産にとってマーチは「重要視されないモデル」になってしまったようです。
ですが海外では違ったようで、「マイクラ」の名称で初代から販売されているマーチの欧州仕様ですが
2017年3月に新型としてマーチとは別モデルとされて販売されました。
その外観のデザインは日本における卵型ともとれる丸いデザインではなく、
日産のキーデザインとなる「Vモーショングリル」の採用に伴い流線型で、
とてもスタイリッシュで近未来的とも取れます。
気になるモデルチェンジは年内?
欧州仕様となってカッコ良くなったマーチですが、
日本で販売されるかというと、今のところ計画はないそうです。
しかし通例にのっとれば今年あたり遅くとも来年にはモデルチェンジが来るように感じられます。
そうして新たに生まれ変わったマーチにはかつて日産を支えた花形に返り咲くことも夢ではないのかもしれません。